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お話と音楽

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トウメイになればの巻き

「知恵の薬」を人間に飲ませることに決まったものの、どうやって飲ませるのかが大問題でした。飲ませる対象の人間に近づいて、飲み物の中に薬を入れる...とかしなければならないのですが、これは難しいことです。
みんなが頭を抱えているところに、コロボックルが朗報を持ってきました。
「私たちが街へ行く時、よく使っているトウメイ薬があります。この薬を飲めばトウメイになるので、姿は相手から全く見えないのです。しかし気をつけなくてはならないのは、その薬を飲むときに着ていた服や靴や持ち物はトウメイになるのですが、その後に着た服や靴などはトウメイにならないのです。ですから出かけるときの服装を整えて、持ち物も全部持って、「知恵の薬」も持った状態で、トウメイ薬を飲まなくてはならないのです。」
 別のコロボックルが実験をしてみせました。
「私が今からトウメイ薬を飲みますので、よく見ていてください。」
そう言うと、そのコロボックルは小さな赤いビンを持って、1口飲みました。
するとたちどころにそのコロボックルの姿は見えなくなったのです。

「ホーッ!!なんてすごいんだ!!」
みんな唖然としています。
トウメイになったコロボックルがしゃべります。
「みなさん、どうですか、私の姿は見えませんか?」
姿は見えないのに、そのコロボックルの声だけは聞こえてきます。
いかにも奇妙な光景です。

マスター「これで随分行動しやすくなったぞ。それぞれ手分けして、さっそく実行に移そうぜ。」

「トウメイになるのは判ったけど、元に戻ることはできるのかしら?」
チャピーは不安そうにコロボックルに聞きました。

コロボックルはチャピーの心配そうな顔を見て、笑いながら答えました。
「水に濡れれば、元の姿に戻れます。シャワーを浴びてもいいし、川に飛び込んでもいい。それより雨の降る日は濡れないように充分注意してください。」

「ええー!!水に濡れないと戻れないのかい!」
グレとマスターは不満そうです。猫はだいたい水に濡れるのはきらいなのですが、彼らは特に苦手でしたから。

コロボックル「それからもう1つトウメイの姿で会話するときは、まわりに誰もいないか充分に注意を払ってください。もし姿が見えないのに声だけ聞こえてしまったら、大混乱になりますからね。」
みんなは水色のビンに入った「知恵の薬」と、赤いビンに入った「トウメイ薬」を、それぞれ渡されて、旅支度をはじめました。

あくる朝早く、魔法のじゅうたんはキャッツアイに向けて出発しました。じゅうたんには誰も乗っていないように見えましたが、10匹の仲間が乗っているのです。
全部で50匹ほどの仲間が集まっていましたので、じゅうたんは5往復して、次々と仲間を送ることになります。
第1陣はチャールズとノラーズのメンバー、それから夜の仕事に慣れているフクロウさんたちも加わりました。
エミーは家の戸締りなどしなくてはならないので、最後の便で行くことになりました。

こうしていよいよチャールズの祖国・キャッツアイを救う作戦がはじまったのです。
グレたちは、はたして人間に「知恵の薬」を飲ませることができるでしょうか。
次回をお楽しみに。

つづく

BGM このよい日≪オペラ・フィデリオより≫ ベートーヴェン

魔法のくすり

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