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お話と音楽

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エミーの家からの巻き

 あくる朝4匹とチャールズは、魔法のじゅうたんに乗って、エミーの家へ向け出発しました。しばらく海の上を飛んでいくうちに、陸地が見えてきました。エミーの住んでいる島です。周りを海に囲まれて、中央には高い山脈が連なっています。
「美しい島ね。高い山が連なっているけど、エミーが住んでいるのはどの辺かしら。」カノジョが地図を広げながら言いました。
「この白い雪を被っている山があるだろう。この山の下は深い森が続いていて、そのふもとにエミーの家があるのさ。」マスターは地図を指しながら答えました。実はマスターも行くのは始めてなのです。

4匹の心配をよそに、じゅうたんは確実にその方向に向かっていました。いよいよ目的の地が近づくと、じゅうたんはどんどん下降し始めました。慣れないチャールズはじゅうたんから落ちはしないかと、しっぽのようなふさにつかまり、震えています。
じゅうたんが地上に近づいてくると、白い家の前で手を振っているネコの姿が見えました。
「エミーだ!!おーい、おれだぜ、わかるか!!」マスターは思わず叫びました。
その瞬間、じゅうたんはあっというまにエミーの目の前にひらりと降り立ちました。
「まあ、マスターもみなさんもご無事で!!そちらの方がチャールズさんですか?お体の具合、大丈夫でしたか?ベットを用意してありますから、お休みください。」
マスター「エミー、何でチャールズのこと知っているんだい!!」
エミー「先ほど天国からのお使いだという白いトナカイがやってきて、皆さんの情報を書いた手紙を置いていったのです。差出人はメイとクロスケと書いてありました。」
カノジョ「そのトナカイはトミーよ。メイとクロスケが連絡してくれたんだわ!!」
エミーはみんなを家の中に迎え入れました。

エミー「マスター、しばらくですわ。お逢いできて本当にうれしいです。」
マスター「何年ぶりだろう、再開できるなんて思ってもいなかったぜ。エミーは少しも変わらないなあ。以前よりもきれいになった気がするぜ。」
エミーはポット頬を赤らめました。

5匹はエミーの手料理に舌づつみを打ちながら、久しぶりに味わう家庭の雰囲気に、昔を思い出したりしました。
チャピー「エミーさん、私のお母さんのようだわ。私、家を飛び出してから一度も帰っていないのです。」
エミー「まあ!私でよかったらせいぜい甘えてちょうだい。」
そういうとエミーはチャピーを抱きしめました。
みんなニヤニヤしていましたが、内心はチャピーがちょっぴりうらやましかったのです。

チャールズはエミーにも祖国を占領された一部始終を話しました。
「すべての人間が悪いわけではないのです。私はネコと人間が仲良く共生している国も知っています。しかし他国を占領して、その国の民を奴隷にするような人間は許せません。」
エミー「チャールズさんのおっしゃるとおりだわ。そんなことを神様は許しませんよ。私もできるだけの協力はさせてもらいます。」
グレ「僕たちにはたくさんの仲間がいるのです。僕たちは家を捨てて旅に出てしまったので、申し訳ないのですが、この家を拠点として、連絡を取り合えるようにしていただけませんか?」
エミー「私の家でお役に立つなら、どうぞお使いください。私が連絡係になりますよ。」
グレ「ありがとう。さっそく手紙を書いて協力を仰ごう。フクロウさんたちに、バーバラさん親子、メルリンケルにコーラスのリスさんたち、それからロックバンドのネコたちと、のうさぎのバレンやハトのポッポさんもいたな。」
カノジョ「ブランデーパークで援けてくれた小人さんたちにも連絡してみましょう。もしかしたらすごい数の協力が得られるかもしれないわ。手分けをして手紙を書くから、だれかじゅうたんに乗って、届けに行ってちょうだい。」
グレ「僕が行くよ。」
マスター「おれもいっしょに行くぜ。」

グレとマスターの2匹のネコは、ゆっくりする暇もなく、じゅうたんに飛び乗りました。
「まずはフクロウさんたちのところへ飛んでいけ!!」
こうしてエミーの家を拠点として、いよいよチャールズの祖国を取り戻す準備がはじまったのです。

つづく

BGM シチリアーナ(J.S.バッハ)

マスターとエミー

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