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お話と音楽

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この日が来るのを待っていた の巻き

 グレたちがキャッツアイに来てから、1月が経とうとしています。
久しぶりに、グレたち全員が、あのクリスマスイブの夜、星を見た森へ集まっていました。この夜も、澄み渡った空には、月も星もきらきら輝いていました。

チャールズたちのお話は前回しましたが、グレたちも、フクロウさんたちも、他のメンバーも、それぞれが成果を上げていました。
メンバーの報告によると、キャッツアイの人間たちは、おおかた、「知恵の薬」を飲んで、他の生き物の言葉がわかるようになっているようです。

今ではもう、トウメイ薬を使わないで、姿を現して街を歩いても、捕らえられることはありません。人間に飼われていたネコも、自由の身になりましたので、もう家を出てもかまわないのですが、残された家族(人間の)が淋しがるのがわかっていましたので、そのまま家に残るネコもたくさんいました。しかし今までの環境とは違い、自由に外出したり、恋ネコを連れてきて、その家の家族といっしょに暮らすネコもいました。
チャールズたちの念願だった、元の平和で美しいキャッツアイの国が戻ってきたのです。

国のまわりに張りめぐらされていた、高い城壁も取り払われ、隣の国にも自由に行き来することができるようになりました。
隣の国からキャッツアイに来た人間たちは、みんな一応にわが目を疑いました。

それもそのはず、
街の中では、人間の経営する商店で、ネコが買い物をしたり、フクロウが経営する遊園地に人間の子供たちが遊びに行ったり、人間と他の生き物が対等に暮らしているのです。
ネコと人間がジョークを言い合って、お互いに笑っている姿など、はじめて見た人は、驚くのも無理はありません。

隣の国から来た人たちは、はじめは驚いていますが、次第にキャッツアイのみんなの楽しそうな暮らしに、すっかり魅せられて、自分たちもこんな暮らしがしたいと思うようになるのです。
それで、この国を訪れた人たちは、「知恵の薬」を買い求め、キャッツアイの人間のように、他の生き物と話せるようになります。
キャッツアイの暮らしがすっかり気に入って、ずっとここで暮らす人や、「知恵の薬」をたくさん買って、隣の国へ帰る人もいました。
是非、このすばらしい暮らしを、家族や仲間にも味あわせたいと思っているようです。

グレたちも、他の生き物たちも、隣の国へ自由に行けるようになったので、隣の国の生き物たちとの交流もさかんになりました。
隣の国のネコの市長さんも、偵察に訪れ、自分たちの国作りの参考にしようと、熱心にキャッツアイの住人の暮らしぶりなどを見学していきました。

こうして「知恵の薬」の輪は、次第にキャッツアイの外にも広がっていったのです。

思い起こせば、エミーの家の近くの森で、夜通し話し合って、争わないでチャールズの祖国を救う方法、「不戦」を選んだグレたちとその仲間は、ついに目的を達成することができたのです。

お互いに話し合う気持ち、相手を理解しようとする気持ちがあれば、侵略や戦争は起こらないはずです。
みなさんも心の目で相手を見てください。
心の耳で相手の言葉を聞いてください。
鳥たちの話も虫たちの話も聞こえるはずです。

つづく

BGM メリー・ウイドー・ワルツ (F.レハール)

☆[イラストの説明] ネコ語でネコと会話する人間
ネコと会話する人間

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