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お話と音楽

このページは、2月に1回(月末)更新されています。はじめての方は、くろすけの巻きからごらんください。

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再びアモイでの巻き

 随分ご無沙汰してしまいました。
皆さんも、グレやカノジョたちが、その後どうしているか、気がかりだったでしょう。
 クロスケの家のクリスマス会では、懐かしい仲間たちもみんな来ていて、マスター一家も来ていました。2匹の仔猫たちは、もうすっかり成長して、マスターと変わらないくらいの体格になっています。エミーは相変わらずとてもきれいでした。ちょっと残念だったのは、チャピーと彼氏の姿がなかったことです。どこでどう暮らしているのか、連絡もないそうです。

ハナとナオミは、初めて参加した、クリスマス会に感激して、帰ってきてからも、クリスマス会ごっこと称して、ファンキー猫のグループの衣装のまねとか、メルリンケルのマイクの持ち方を真似たり、バーバラさん親子のビブラートを真似てみたりして、遊んでいます。当分この遊びは続きそうです。

 グレはまだしばらく、カノジョたちと一緒に暮らしたい気持ちもあったのですが、吟遊詩人の旅を続けることにしました。

 時は過ぎ、季節はもうすっかり春になっていました。グレは海を越えて、お隣の大陸に渡っていました。かつて立ち寄ったことのある、アモイという港町にも寄ってみることにしました。
 皆さんは覚えているでしょうか?グレが天国から帰還してきたときのことを。。。
アモイという街のはずれの、小さな酒場のことを。。。
そこでマスターと知り合い、一緒に旅をすることになったのでした。

あの時は、店の前まで来ると、クロネコブルースが聞こえてきたのでした。グレは急になつかしさがこみ上げてきて、今は空き家になっているはずの、その酒場に行ってみることにしました。
今回も調度、あの時と同じ、辺りが薄暗くなってくる、夕暮れ時でした。

 酒場の近くまで来ると、空き家のはずの店の中から、灯りがもれています。
店の前まで来ると、なんと中からクロネコブルースが聞こえてきたのです。

グレは驚いて、店のドアを開けました。なんとカウンターの中には、マスターがいたのです。
グレ「マスター、どうしてここに?」
マスター「グレ、驚いたな!!ここで再会できるとは思わなかったぜ。」
グレ「クロスケの家のクリスマス会のときは、何も話さなかったじゃないか。説明してほしいなあ。」
マスター「やあーーー、あの時は、こんなことになるなんて、予想もしてなかったんだ。といっても、俺は元来、放浪癖があって、1つのところに、じっとしていられない猫なのさ。エミーと一緒になって、かわいい子供たちにも恵まれ、幸せな生活を送っていたはずなんだけど、また昔の放浪癖が頭をもたげてきてしまったんだ。そうなると、旅に出たい、出たいと、毎日そればっかり考えて、悶々としてしまう。エミーもそんな俺を見ているのが、耐えられなくなってきたんだ。
ある日、エミーがこう言ってくれた。『マスターの好きなようにしていいわよ。子供たちも大きくなったし、私は子供たちと暮らしていくから、心配しないで大丈夫。』」

マスターはサングラスを外すと、目頭を押えました。
グレはマスターの様子に、あの時も(グレが天国に召されたメイと、出会った話をしたとき)そうだったと、思い出しました。

その夜、2匹はノラーズのころの歌を歌ったり、昔の仲間たちの話をしたり、グレの旅の話やカノジョとハナ、ナオミたちのこと、エミーやマスターの子供たちの話など、次から次と話すことがいっぱいありました。マスターはいつものことで、飲むほどに、酔うほどに、話が弾み、酩酊状態でしたが、いつもはほとんどお酒を飲まないグレも、マスターに勧められるままに、かなり飲んでしまいました。

気がつくと、もう夜が明ける時刻になっていました。
グレ「夜が明けてしまった。僕はまた旅を続けるよ。マスターはまだしばらくここで暮らしていく予定?」
マスター「俺のことだから、長くはいないと思うが、もうしばらくはここに居ようと思っている。ここにいる間は、エミーから連日のように、便りが届くんでね。それを読むのが楽しみなのさ。旅に出たがった俺とは、矛盾しているけど。。。グレ、元気でな、またどこかで会おうぜ。」

グレ「マスターも元気で。」
ドアを開けると、東の空が白み始めていましたが、星がいくつか瞬いて、グレを見送ってくれました。
づつく

☆以前のストーリーをご存知ない方は、
5、「地上に戻ったグレの巻き」をごらんください。

つづく

BGM はるかなる旅路(AYAKO)

イラストの説明
アモイの酒場で再会した、グレとマスター
アモイの酒場で再会した、グレとマスター

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