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お話と音楽

このページは、2月に1回(月末)更新されています。はじめての方は、くろすけの巻きからごらんください。

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ドリームスクール の巻き

 ドリームスクールは、ナオミが今まで通っていた学校とは、何もかも違っていました。校門はいつも開かれていて、誰でも出入りすることができます。
学校の庭は、裏山の森に続いていて、お天気の良い日は、室内ではなく、庭や森の一角で、授業をすることが多いのです。
学年は一応小学1年から中学3年までの総合で9年制ですが、授業の内容によって、色々な学年の授業を受けることができるのです。

たとえば、とても国語の好きな小学1年生がいたとして、その生徒は年齢でいえば一年生なのですが、一年の授業はとっくにマスターしてしまっているので、4年生の授業を受けたりできるのです。
逆に3年生の生徒が、算数が苦手で、4年に進んでも授業についていけない場合は、もう一度3年生の授業を受けられます。これは決してはずかしいことではなくて、一人一人の生徒が完全にマスターしたら、次のステップに進めるようになっているのです。

授業の進度には個人差があるのは当たり前で、それぞれどんな能力があるかというのは、一人一人全部違うのです。

ドリームスクールには、生徒達も先生も、様々な境遇の人たちが集まっていました。足の障害で歩けない生徒も、生まれつき目が見えない生徒も、聴覚障害で聞こえない生徒も、いじめを受けて自殺未遂したナオミのような生徒も、家で親の虐待を受けていた生徒も、この学校では生徒だけでなく、色々な傷を持った、先生たちも通っていました。
みんなドリームスクールに入って、一年も経たないうちに、見違えるように生き生きとしてくるのです。

ナオミ「私、学校がこんなに楽しいと思ったの、はじめてだわ!!」
ハナ「私、学校に来たの、はじめてだけど、勉強するって楽しいわね。」
今まで、字も読めなかったので、本も読んだことがなかったハナは、一年生の授業を受けることになり、字が読めるようになったのが、うれしくてたまりません。

今日は2人は校庭の隅の、大きなクスの木の下で、お弁当を食べているのです。
午後からは、学校の授業は、自由研究なので、裏の森に探検に出かける予定です。

ドリームスクールでは、遊びのように見える授業が多くて、特に理科などは、ほとんど野外で行われました。雨が降ったり、風が強かったり、お天気の悪い日は室内の授業、たとえば国語なら、先生がお話の朗読をしてくださったり、映画の鑑賞をしたり、生徒が作ったお話を発表したりします。
音楽は小学一年から、好きな楽器を習うことができ、毎年発表会が開かれます。初めはみんなうまくないのは当然ですが、9年生になるころには、かなり上達して、1から2種類の楽器なら、素晴らしい演奏ができるようになります。

ドリームスクールでは、生徒だけでなく、先生も身体に障害のある先生が何人かいます。
生徒たちは、そういう先生から、障害のある人が生活するうえで、どのような助けが必要なのかとか、健常者には見えない世界が見えたり、味わえない感覚を感じたり、マイナス面だけではなく、優れた面も教えてもらえるのです。

都合で家から通えない生徒と先生のために、校内には寮も立てられていました。
寮では、先生も生徒も一緒に、健常者は障害者を助けながら暮らします。

ナオミは日に日に、明るさを取り戻して、もうすっかり心の傷も治ったようです。

今夜はドリームスクールの恒例の行事「蛍の森で過ごそうよ」が行われます。森は蛍がいっぱい、青い光を放って、飛び交っています。ドリームスクールの仲間たちも、今夜は蛍と一緒に遊ぼうという授業なのです。

カノジョはナオミとハナを迎えに行くうちに、
「私もこの学校の生徒になりたい」と思うようになりました。
はたしてカノジョの願いは叶うでしょうか。。。

つづく

BGM 月に寄せる歌・歌劇ルサルカより

イラストの説明
蛍の飛び交う夜の森へやってきたドリームスクールの生徒達
蛍の飛び交う夜の森へやってきたドリームスクールの生徒達

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