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お話と音楽

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コロボックルの村は の巻き

 アースデイのイベントは大成功で、たくさんの収益金が集まり、それぞれの支援を必要としている国に分配されます。ジュールの街にも、収益金の一部が支給されるでしょう。

その日、イベント終了後には、グレたちも、久しぶりに会った仲間たちと、夜明けまで語り合い、再会を誓い合ったのです。

仲間たちにさよならを言って、イベント会場を後にしたころには、もう東の空が明るくなって、朝日が昇りはじめていました。

カノジョ「楽しかったわね。みんなと久しぶりに会えて。別れるのが淋しかったわ。」
エミー「私、マスターと会ってから、みなさんの仲間に入れていただいて、以前と生活が変わってしまったのよ。ギャラネコに来たのも、初めてだし、こんな経験ができるなんて、生きていてよかったとつくづく思うわ。」
グレ「当分興奮が消えそうもないなあ。とにかく今日は帰って、ゆっくり休もう。明日はコロボックルの村に行ってみようと思っているんだ。」
チャピー「ああ、あの魔法の薬をたくさん作って送ってくれた人たちね。
どんな所に住んでいるのか、知りたかったのよ。」
その日はみんな疲れていて、帰るとすぐに、あくる日の朝まで、眠り込んでしまいました。

マスター「おい、みんな起きろよ、もうこんな時間だぜ。」
カノジョ「ああ、大変、コロボックルたちと約束した時間に間に合わなくなるわ。みんな急いで。」
5匹は眠い目をこすりながら、あわてて魔法のじゅうたんに乗り込みました。

見慣れたギャラネコの風景も、こうして空の上から見下ろすと、違う感動があります。やがてグレたちがギャラネコに来てはじめて訪れた公園が見えてきました。

マスター「ブランデーパークだぞ!!ギャラネコではじめて泊まった公園だ。」
カノジョ「そうそう、ここでグレとマスターがドラネコたちに襲われて、大怪我をしたのよ。もう2匹とも虫の息で、途方に暮れていたら、リスさんたちが通りかかって、コロボックルの村のことを教えてくれたの。あのときは、私も尻尾をけがしていたけど、魔法の薬でたちどころに治してもらったのよ。」
グレ「僕たちはずっとあとでそのことを知らされたのだけど、あの時コロボックルの薬をもらえなかったら、僕たちの命はなかったんだ。カノジョ以外はまだコロボックルの村を訪れたことがないんだよ。」

チャピーもエミーも話には聞いていましたが、もうすぐその村を見ることができる期待で、胸がわくわくしました。

魔法のじゅうたんはブランデーパークの先の森の上を飛んで行きました。深い森で、中の様子は空からでは、わかりません。やがてじゅうたんは、茨でできた塀のようなところへ降り立ちました。
エミー「この中がコロボックルの村なのかしら。入り口らしきところがないわね。茨のトゲがあって、中に入れそうもないわ。」
カノジョ「私が前に来たときは、こんな茨はなかったのだけど。外部の侵入を防ぐために、厳重になっているようね。」
グレ「約束の時間までもう少しだから、ここで待ってみよう。」

しばらくすると、茨の塀がパッと消えて、グレたちの目の前にコロボックルの村が現れました。村長さんを先頭に、10人ほどのコロボックルが待っていました。
f 5匹は急に開けた景色に、びっくり!!
チャピー「わー!!すごいわ。一瞬で茨が消えてしまった。さすが魔法の村ね。」
エミー「メルヘンの世界みたい。コロボックルさん、こんにちは。ステキな村ですね。」

村長「みなさん、お待ちしていましたよ。この村は世間には知られたくない存在なので、こんなふうに入り込めないようにしてあるのです。カノジョが来たときも、実はこのように茨の塀で塞いであったのですが、私たちはテレパシーで、カノジョが緊急の事態で、やってくることがわかっていたので、塀を開けておいたのです。」

カノジョ「そうでしたか。あの時は本当にお世話になりました。この2匹が命を助けていただいたグレとマスターです。」

マスター「村長さん、皆さん、はじめてお目にかかります。そういう事情でしたか。それでカノジョはこの村で助けていただいたことを、ずーっと話してくれなかったのですね。改めて御礼を申し上げます。」

グレ「みなさんのお陰で、こうして命を永らえることができました。
それから、たくさんの知恵の薬を送っていただいて、どれだけのネコとウサギの命が助かったか、お礼の言葉もありません。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。」

その日は調度村の収穫祭で村中のコロボックルが広場に集まっていました。
コロボックルの村の家はすべてキノコの形をした屋根でした。
コロボックルの衣装も、頭には三角の帽子を被り、木靴を履いています。

広場の周りは大きな樫の木で囲まれていて、木の枝にはたくさんのキラキラ光る飾りがついていました。よく見るとその光る物の正体は、ホタルとオオゴマダラの蛹でした。

広場の中央には、野外ステージができていて、ステージでは数人のコロボックルたちが歌っているところでした。観客のコロボックルたちは歌にあわせて、踊っています。

広場の横のほうには、ずらっと屋台のような店が並び、おいしそうな匂いを漂わせていました。

子供のコロボックルが一軒の店でトリプルアイスクリームを注文しています。お店には何の商品も見当たりません。お店の人が杖を一振りすると、子供の目の前に、ピンク、イエロー、グリーンの3色のトリプルアイスクリームが現われました。
その光景を見た、チャピーとエミーはさっそく買いに行きました。
グレとマスターはコロボックルたちの、はじめて聞く、不思議な歌にすっかり魅せられて、コロボックル村の人たちに混ざって、踊りはじめました。

こうして5匹はコロボックルの村の収穫祭を楽しんだのです。

コロボックルの村のお話は次回に続きます。

つづく

BGM 妖精の踊り(グリーグ)

イラストの説明
{突然、茨の中からコロボックルの村が現れました。}
突然、茨の中からコロボックルの村が現れました。

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