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お話と音楽

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スターへの道のりの巻き

 3匹(グレ、カノジョ、マスターの3びきののらねこ)を乗せた、貨物船は2ヶ月ぶりにギャラネコポリスの港へ着きました。
2ヶ月の報酬は3尾の大きな真鯛でした。3匹はドラ猫船長と、クルーたち、それと、ねずみ組合の仲間たちにあいさつして、さっそく、真鯛と必要なものを交換するために、青空市場に向かいました。

ねずみ組合の仲間たちも、この町でレストランを開く予定だそうです。はじめは、屋台の食堂から始めると言っていました。成功するといいですね。

 青空市場は、たくさんのねこたちで賑わっていて、さまざまな品物が売られていました。ここでは、お金でなく、物と物を交換するのです。
ドラ猫船長がくれた真鯛はとても立派なものでしたので、3匹は何でもほしいものと交換する事ができました。
新しいギターとハーモニカ、タンブリン、それと、新品のステージ衣装に靴、それから、ハンモックにする布とロープを交換しました。
着ていたボロを脱ぎ捨て、マスターはさっそく、新しい服に袖を通そうとしましたが、カノジョに止められました。
「これはステージ衣装だから、普段は着てはだめです。しばらくは、普段着はないのよ。」
そうなのです。何着も買う余裕はまだありません。しばらくは、ハダカで過ごすことになりそうです。
ハダカといっても、3匹はしなやかで美しい毛並みをしています。そんなにおかしくはないと思います。

 買い物が済むと、3匹は、小高い丘の上にあるブランデーパークという、美しい公園に向かいました。
その公園は見晴らしのいいところにあって、青い海や、白い家並みが一望できて、緑の木々が生い茂り、公園から森へと続いているのです。
公園に着くと、カノジョは噴水のある池にチャポンと飛び込んで、体を清めました。
マスターとグレにも、早く入るようにいいましたが、2匹とも、なかなか池に入ろうとしません。ねこは、犬かきのような泳方で、泳ぎも達者なのですが、水に濡れるのが大嫌いなのです。
カノジョはグズグズしている2匹の足を引っ張り込みました。ザボン!!大きな音がして、そのあと、ギャー!!
というグレの大きな悲鳴が聞こえました。散歩中のねこたちも、大笑い。

体を清めて、久しぶりにきれいになったら、今度は寝床を作る事になりました。
しばらくこの公園で暮らすつもりなのです。
 青空市場で買った大きな麻布とロープを木の枝と枝に結んで、ハンモックを作ります。雨が降っても濡れないように、葉の生い茂った、ころあいの木を見つけました。
カノジョとマスターは、するすると登っていって、布を結び始めましたが、グレはいつになっても登ってきません。グレは高いところがこわいのです。カノジョは笑いながら、
「メイと同じね。」
といいました。メイも高いところがこわくて、カノジョが屋根の上でデートしようとしても、なかなか登ってこれなかったのです。
「メイさんと同じなら僕の事も愛してください。」
なかば、本気のような表情でグレが言いました。
「本当に愛した恋ねこのことは、忘れられないものよ。」
カノジョが言うと、マスターも、グレに同情しながらも、
「あきらめるんだな。」
と、冷たい言葉をあびせます。しばらくすると、大きなハンモックが1つと、小さなハンモックが3つできあがりました。
大きなハンモックは、3匹がいっしょにいたい時、小さなハンモックは、孤独に浸りたい時に使うのです。

 その夜、3匹は久しぶりに星空の下で、歌を歌いました。明日からストリートミュージッシャンとしてやっていくのです。皆さんも、3匹を応援してください。つづく

つづく

ハンモック

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